ホスピス・サービスの比較まとめ

ホスピス業界の不正請求・過剰請求問題とは?医心館を例に解説

2025.10.07 2025.10.07

ホスピス業界では最大手の医心館やPDハウスなどで請求された診療報酬と実情の相違による不正請求や過剰請求が問題になっています。利用を検討している方や現在利用している方、そのご家族はどのような問題が起こっているか気になる方も多いでしょう。

本記事では、ホスピス業界の不正請求・過剰請求問題や安心できるホスピスを選ぶポイントなどについて解説します。編集部おすすめのホスピス事業者も紹介しているのでぜひ参考にしてください。

【この記事のポイント】

  • ホスピス業界では、医心館やPDハウスなど大手事業者による不正・過剰請求問題が明るみに出ており、診療報酬制度の複雑さが背景にある。
  • 不正請求の多くは利用者が気づきにくい仕組みで行われ、公費負担の増加や医療機関への不信感につながる懸念がある。
  • 安心して利用できるホスピスを選ぶには、専門家への相談・口コミ確認・施設見学を通じて信頼性を確かめることが重要。

ホスピス業界の不正請求・過剰請求問題とは

近年ホスピス業界では、訪問看護事業での不正請求や過剰請求が問題となっています。この背景には、医療保険を適用した訪問看護の診療報酬の算定や加算制度が関係しています。

末期がんの患者は医療保険で訪問看護を利用しますが、医療保険は介護保険よりも施設側への報酬が高く、さらに看護師の複数人訪問やターミナルケアによる加算が可能です。また、医療保険の場合、医師が必要と判断すれば訪問回数などを柔軟に設定することができます。

さらに、難病患者や末期がん患者は、難病医療公費制度や高額療養費制度により自己負担額に上限があるため、1日の訪問回数が増えたり、深夜訪問や複数人での訪問に対する加算がされていても費用が膨大になる心配がありません。そのため、利用者やその家族がこうした施設側の診療報酬の水増しに気づきにくく、事業者による不正が横行しやすい状況と言えます。

利用者にかかる費用が増えるわけではありませんが、こうした不正は公費である医療費が増える恐れや医療機関への不信感に繋がります。

最大手ホスピス事業者で発覚した不正

最近では、大手ホスピス業者である医心館やPDハウスで不正・過剰請求問題が指摘されており、話題となっています。

医心館が不正疑惑で特別調査

株式会社アンビスホールディングスが運営する「医心館」は、末期がん患者や難病患者向けの住居型の有料老人ホームです。併設されている訪問看護ステーションが主体となって医療・看護・介護から看取りまで受けることができます。

医心館は全国に約120箇所あり、業界最大手のホスピス事業者です。しかし、2025年3月、施設内の訪問看護ステーションで、「出勤前の時間や仮眠中に訪問看護をしたというような記録がされていた」、「利用者の必要性にかかわらず1日3回で訪問と初めから決まっていた」など、実際の訪問内容とは異なる記録の作成がされていることが元社員や現社員の証言や内部文書で判明しました。

これを受け、アンビスホールディングスは外部の専門家による特別調査委員会を設置し、業務実態を調査しました。その報告書では、少なくとも約6300万円分の実態のない診療報酬の請求がされていたものの、記録ミスなどが原因であり組織的な不正はなかったとしています。また、末期がん患者に対し訪問回数が多いことはその病状を考えれば多すぎるということはない、という判断のもと訪問看護を行っているようです。

アンビスホールディングスは今後、正確な記録の作成や十分な人員配置などの再発防止策を提言しています。

出典:株式会社アンビスホールディングス「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ

医心館の評価や口コミ、サービスについては別記事「医心館はやばい?サービス内容や口コミなどを他ホスピス業者と徹底比較」でもご紹介しています。

PDハウスの不正請求

株式会社サンウェルズは、パーキンソン病患者に特化した介護施設「PDハウス」を運営しています。現在、PDハウスは北海道から熊本県まで約60箇所あり、専門的なケアや24時間体制の看護が提供されています。

サンウェルズはここ数年で急成長し、2024年7月には東証プライムへ上場するなど、介護業界でも注目の会社でした。しかし、同年、訪問看護の不正や過剰請求の報道をきっかけに特別調査委員会が設置され、当時運営していた42ヶ所の施設のうち41ヶ所で不正に報酬を請求していたことが報告されました。

報告によると、睡眠状況の確認が実際には短時間であったにもかかわらず、約30分の訪問であると記録していたり、1人での訪問を複数人で訪問したと報告するなどの不正が横行していたようです。また、総額約28億4700万円に上る不正・過剰請求があったとされています。

サンウェルズは調査報告を事実認定し、再発防止策を実施していく方針を発表しています。

出典:日本経済新聞「特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ

PDハウスの評価や口コミ、サービスについては別記事「PDハウスはやばい?評判・口コミと不正請求問題について解説
」でもご紹介しています。

安心して利用できるホスピスを選ぶポイントとは

前述したように、大手のホスピス事業者で不正請求が問題となっています。ここでは、大切な家族を預けるために、信頼できるホスピスを選ぶポイントを紹介します。利用を検討している施設が不正をしているのかを簡単に見分けることはできませんが、少しでも安心して利用開始できるよう、施設選びの参考にしてください。

専門家に相談する

ソーシャルワーカーや地域包括支援センター、かかりつけ医などは地域の施設情報に詳しい専門家です。患者に入所できる施設を紹介したり、定期的に患者の状況を確認するなど施設と連携する業務が多くあり、豊富な情報を持っています。自分の信頼できる専門家や情報源から情報を得て、どのような施設がいいか相談してみましょう。

普段から関わっている専門家であれば、患者それぞれの事情や家庭状況なども加味して相談に乗ってくれるので、より適切なアドバイスを受けることができます。

ホスピスを選ぶポイントについては別記事「ホスピスの選び方とは?選ぶ際のポイントや施設の探し方について解説」でも解説しています。

口コミをチェックする

気になっている施設について、Googleマップのクチコミや老人ホーム・介護施設の検索サイトの評価など、様々なサイトの口コミをチェックしてみましょう。スタッフの対応の仕方や訪問時の滞在時間など、その施設の利用者やその家族のリアルな声を確認することができます。

口コミの評価が高い施設については別記事「【2025年】評判の良いホスピスは?口コミ・評価の高いホスピスの選び方とおすすめ施設」にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

実際に施設見学に行く

人によって考え方や許容できる範囲は違うため、気になっている施設は口コミや紹介だけでなく、直接見学に行き自分の目で見て確認することが大切です。

具体的な訪問看護のプランや費用などの疑問点について、事前に確認したいことをまとめて直接質問してみましょう。

見学時は利用者やスタッフなど、施設の雰囲気を確認することで、利用者本人とその家族の安心に繋がります。

編集部おすすめのホスピス事業者

編集部が様々な視点からおすすめするホスピス業者を3つご紹介します。気になる施設がある方は各施設へお問い合わせの上、施設見学へ参加してみましょう。

バランスの取れた医療と介護のホスピス「ReHOPE」

出典:ReHOPE


公式サイト:ReHOPE

ReHOPEは株式会社シーユーシー・ホスピスが運営するホスピスです。24時間365日看護師、介護士が常駐し、ケア体制と生活面のサポートも充実しているため、医療依存度が高い方も安心して日々の生活を送ることができる施設です。

また、家族や友人、ペットとの面会が24時間いつでも可能なため、入居者は時間に縛られずに生活ができる点もポイントです。

ReHOPEの口コミ

“息子が『ラーメンが食べたい』と言えば、カップラーメンを用意してくれるし、毎週火曜日には缶ビールを一本だけ楽しむことも、医師の許可を得て実現しています。本人もその時間をとても楽しみにしています。”

引用:ReHOPE「ご入居者さま・ご家族の声

“大変素晴らしいスタッフの方が揃っており感謝しかありません。24時間看護介護の安心もさることながら、入居者の残りの人生を少しでも楽しめるように手助けしてくれるスタッフの方が揃っております。楽しい行事であったり、細かな配慮だったり、消耗品の管理であったり、色々と助かっています。”

引用:Googleマップ「ReHOPE墨田

“新しく清潔で、案内をしてくださった施設長がとても親切でした。 他の施設も見学して、納得のいく施設をら選んでくださいと言われ、自身の勤務先を優先せずにアドバイスをくださり、一層好感が持てました。”

引用:ケアスル介護「ReHOPE松戸の口コミ・評判

ReHOPEについては別記事「【2025年最新】ホスピス型住宅「ReHOPE」の口コミ評判は?施設や看護師の対応などを徹底調査!」でも詳しく紹介しています。

家庭的な雰囲気で過ごせる「ファミリー・ホスピス」

https://family-hospice.co.jp/


公式サイト:ファミリー・ホスピス

ファミリー・ホスピスはファミリー・ホスピス株式会社が運営するホスピスです。専門性の高いスタッフが配置されており、医療対応が必要な方も手厚いサポートが受けられる施設です。

また、「家のように過ごせるホスピス」をコンセプトにしており、食事や入浴だけではなく、アットホームな雰囲気で余暇の時間も快適に過ごせるよう配慮されている点もポイントです。

ファミリー・ホスピスの口コミ

“介護士さん、看護師さん、また様々なスタッフの方が快く対応して下さり、父もとても快適に過ごしています。それから食事も美味しく満足しているそうです。”

引用:Googleマップ「ファミリー・ホスピス二子玉川ハウス

“明るく話しやすい雰囲気です。入居者本人だけでなく家族に対しても気づかいが感じられる。”

引用:安心介護紹介センター「ファミリー・ホスピス大口ハウス

“すべての職種のスタッフ皆様がとても礼儀正しく、優しい言葉使いと対応をしていただいています。ご案内いただいたことでヘアカットや爪切りなど、入院中にできなかったことが早々に解決しました。”

引用:いい介護「ファミリー・ホスピス高井戸ハウス

ファミリー・ホスピスについては別記事「ファミリー・ホスピスの口コミと評判!医心館やReHOPEとどちらがいい?」でも詳しく紹介しています。

リラックスして生活できる「フレアス」

https://fureasu.jp/


公式サイト:フレアス

株式会社フレアスは高齢者向けの訪問マッサージ事業を中心に、在宅医療を支えるさまざまな施設やサービスを直営展開しています。あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師といった国家資格を持つ専門スタッフが、利用者の自宅や介護施設へ赴いてケアを実施しています。

運営する「フレアスメディカルケアホーム」は住宅型有料老人ホームまたはサービス付き高齢者住宅で、訪問看護事業所・訪問介護事業所を併設しており、会社一律でスタッフの教育体制が整っている点もポイントです。

フレアスの口コミ

“母に「マッサージのスタッフさんによくほぐしてもらっているね?」と尋ねると「肩も腕も全部マッサージしてくれるよ。右手が動くのが大事だって。手ぬぐいをつかまえるゲームをしたりもするよ」と話してくれます。母が施術やスタッフさんとのお話をとても楽しんでいる様子をとても嬉しく思います。”

引用:株式会社フレアス「感謝の声

“24時間体制で見守ってくださるので、助かります。母はストーマを着けていて、排便のコントロールが難しい状態ですが、訪問診療の担当医と施設の看護師が、良い状態を維持できるよう、しっかり考えてくださっています。”

引用:安心介護紹介センター「フレアスメディカルケアホーム元橋本

フレアスについては別記事「フレアスの評判は悪い?従業員・利用者の口コミ紹介と他社との比較」でも詳しく紹介しています。

まとめ

ホスピス業界の不正請求問題は報酬算定の方法が複雑なこともあり、利用者が気づきにくいという背景から、一部の事業者から多額の不正請求が見つかっています。

今回、医心館は不正ではありませんでしたが、ホスピスの利用を検討している方やご家族は本当に入居して大丈夫なのだろうか、と不安に感じる方も多いかもしれません。

安心して任せられる事業者を選ぶために、様々な口コミや信頼できる専門家からの情報を取得し、納得のいく施設を探しましょう。

FAQ

医心館の不正請求とは?

「出勤前の時間や仮眠中に訪問看護をしたというような記録がされていた」「利用者の必要性にかかわらず一日3回で訪問と初めから決まっていた」など、実際の訪問内容と異なる記録が作成されていることが元社員や現社員の証言や内部文書で判明しました。しかし、特別調査委員会により、組織的な不正はなかったと報告されています。

詳しくは記事内「医心館が不正疑惑で特別調査」をご覧ください。

なぜ不正請求ができたのか?

訪問看護の診療報酬の算定や加算制度が関係しています。1日の訪問回数や深夜訪問対応、複数人での訪問に対し診療報酬が請求できますが、利用者側は適切な申請がされているかの判断が難しいため、利用者やその家族は不正請求や過剰請求に気づくことは難しいのが現状です。

詳しくは記事内「ホスピス業界の不正請求・過剰請求問題とは」をご覧ください。